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TASK6税理士資料回収業務効率化

資料回収が遅れる税理士事務所へ|催促を仕組みに変える5手順

顧問先から資料が集まらない。その遅れは顧問先の怠慢ではなく「回収が誰の仕事でもない」ことが原因です。資料回収を6工程に分け、催促を仕組みに変える5つの手順を具体的に解説します。

高橋ゆうこ

確定申告の直前、まだ半分の顧問先から資料が届いていない。催促のメールを打ち、電話をかけ、返事を待つ。その間ほかの申告は止まったまま——毎年この時期になると、事務所の時間が「待つこと」に溶けていきます。

資料回収は、担当社数が増えるほど重くのしかかります。まず、この業務が実際には何と何でできているかを分けるところから始めます。

資料回収は6つの工程でできている

資料回収とは、顧問先から必要な資料や情報を、期限までに漏れなく受け取り、記録として残すまでの一連の業務です。「催促の連絡」はそのうちの一部にすぎません。実際には、次の6つがつながっています。

  1. 誰から何が未着かを洗い出す
  2. 相手に合わせて個別に連絡する
  3. 届いた資料の中身を確認する
  4. 不足や不備があれば再依頼する
  5. 受領を記録する
  6. それでも届かなければ再度催促する

このうち「2」と「6」だけが資料回収だと思われがちです。けれど時間を食っているのは、むしろ「1」の洗い出しと「5」の記録です。この2つは判断より作業に近く、担当者の頭の中とExcelに散らばりがちな部分でもあります。

遅れているのは、回収が誰の担当でもないから

資料回収は、担当者の頭の中にしか工程表がありません。誰にどこまで催促したかは、その人が休むと事務所の誰にも分からなくなります。

顧問先の側にも事情があります。本業が忙しく、何をいつ出せばいいのか分かっていない。前回何を出したか覚えていない。悪気があるわけではなく、優先順位が下がっているだけです。ここで事務所側が「催促の頻度」だけを上げても、関係がぎくしゃくするばかりで、回収のスピードは大きく変わりません。

効くのは、相手が動きやすい状態を先に作ることです。何を・いつまでに・どう出せばいいかを具体的に示し、こちらが進捗を把握している。この2つがそろうと、催促の回数そのものが減っていきます。

資料回収に溶ける時間を数える

感覚で「忙しい」と言っているうちは、対策の優先順位がつきません。一度、時間に換算してみます。

1社あたりの回収に、洗い出しから受領記録まで月30分かかっているとします。担当が50社なら、月25時間。時給1,800円で換算すれば、月およそ4.5万円分の作業が「待つこと」と「追いかけること」に使われている計算です(これはあくまで試算で、事務所ごとに幅があります)。

この負担は繁忙期に集中します。MS-Japanが2024年に確定申告業務の担当者へ行った調査によると、税理士・会計事務所スタッフで月45時間以上の残業をする人の割合は、通常期の3.8%から確定申告期には27.3%へ増えていました。同じ調査で課題の上位に挙がったのは「入力作業の属人化」(41.0%)と「証憑回収に多くの時間がかかる」(39.3%)です。回答数が少ない調査なので、傾向として読んでください。

資料回収は、繁忙期の課題として残業や属人化と並んで挙げられています。

催促を仕組みに変える5つの手順

属人的な追いかけっこから抜け出すには、次の5つを順番に整えます。難しいツールは要りません。まず「1」と「2」だけでも効果が出ます。

1. 期限を先に、具体的に示す

「なるべく早めに」ではなく「◯月◯日まで」と日付で伝える。返信が遅い相手には、件名に期限を入れるだけでも動きが変わります。

2. 依頼する資料を1回で、リストで渡す

小出しにすると相手が混乱し、往復が増えます。必要な資料をチェックリスト形式で一度に渡し、「これを埋めれば終わり」の状態にします。

3. 未着を一覧で見えるようにする

誰から何が届いていないかを、担当者の記憶ではなく一覧で持つ。これがあると、担当以外の人でも代わりに催促できます。

4. 催促を自動で送る

期限前と期限後に、決まったタイミングで自動的に催促を送る。人が「そろそろ連絡しなきゃ」と思い出す負担をなくします。

5. 受領を記録に残す

「受け取った」を都度記録する。言った・言わないを防ぎ、翌月・翌年の回収の土台にもなります。

仕組みでも埋まらない部分がある

ここまでの手順を回しても、資料が出てこない顧問先は残ります。

顧問先が本当に多忙で物理的に出せないとき、資料そのものが相手の手元でまだ整っていないとき、そして初めての顧問先で「何が必要か」の認識がずれているとき。こうしたケースは、催促の自動化だけでは動きません。最初のすり合わせや、相手の業務そのものへの踏み込みが必要になります。

だから、仕組みで巻き取れる定型部分(洗い出し・連絡・催促・記録)は自動化に寄せて、人の時間は残りの相手に使うことになります。

よくある質問

Q. 催促の回数を増やせば回収は早くなりますか? 回数だけを増やしても、関係が悪くなるわりに効果は限定的です。それより「何を・いつまでに・どう出すか」を先に明確にし、進捗をこちらが把握しているほうが、結果的に催促の回数は減ります。

Q. 小規模な事務所でも仕組み化できますか? できます。最初から全業務を管理しようとせず、繰り返しが多く判断と作業を分けやすい「資料回収」から手をつけると、効果が見えやすいはずです。期限の明示と依頼リストの整備だけでも、往復がはっきり減ります。

Q. LINEで連絡していますが、依頼が流れてしまいます。 通知は届いていても、担当と完了は残りません。書き方でおぎなう方法はリマインくんの使い方と、仕事で使うときに足りなくなるものにまとめました。

Q. どこから手をつければいいですか? まず1社あたりの回収時間を測り、担当社数を掛けて「溶けている時間」を数字にしてみてください。負担が見えたら、上記の手順1(期限の明示)と手順2(依頼リスト)から着手するのが、いちばん費用対効果の高い一歩です。

タスク管理そのものの考え方はタスク管理とは?ツールの前に知る、仕事がまわる考え方にまとめてあります。

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