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TASK6クリティカルパスプロジェクト管理段取り

遅れていい仕事と、遅らせられない仕事|クリティカルパスの見つけ方

タスク一覧を上から見ると全部急ぎに見えますが、提出日をずらしてしまうのは一部の仕事だけです。どれが遅れると提出日まで遅れるのかを、計算せずに見つける手順と、作業日数だけで数えると抜け落ちる「相手の返事待ち」の数え方をまとめました。

高橋ゆうこ

朝いちばんに、今日やることの一覧を開く。上から下まで、全部急ぎに見える。

上から順に読み返しても、順番が決まらない。どれも今日やったほうがいいことばかりで、どれかを後ろに回す理由が見つからない。結局、いちばん上のタスクから手をつけて、いちばん下まで届かないまま夕方になる。


優先順位のつけ方はいろいろありますが、その手前に、好みで決めなくていいことが1つあります。どれが遅れたら、他の仕事まで遅れるのか。承認が要る、相手の返事を待つ、前の作業が終わらないと始められない——こういう仕事のつながりで決まっているので、好みで決めずに、いまのタスク一覧を見れば分かります。

この記事では、いま手元にあるタスク一覧を見るだけで、遅らせられない仕事を見つける手順と、見つけたあとの動かし方を書きます。図を描いて計算する方法は、必要になったときだけで足ります。

次のうち、どれが自分に近いですか。

  • 「今週まで」が5つ並んで、どれから手をつけるか決まらない
  • 時間のかかる仕事から並べてみたが、それでも順番がしっくりこない
  • 「確認をもらう」が、自分の作業の中に混ざっている

そもそも、遅れていい仕事と遅らせられない仕事は何が違う?

同じ「今週まで」の仕事が5つ並んでいても、後ろに何がつながっているかで2種類に分かれます。

  • 遅れても、他の仕事は進むもの
  • 遅れると、後ろの仕事が始められなくなるもの

見積書を1日遅らせても、他の作業は動きます。ところが、その見積書に上司の承認が必要で、承認を受けてから客先に出す約束があるなら、1日の遅れがそのまま提出日の遅れになります。同じ「1日」でも、後ろに何がつながっているかで重さが変わります。

見分け方:タスクを1つ選んで、それが1日遅れたら何が起きるかを考えてください。客先への提出日や申告の期限のように、自分では変えられない日まで一緒にずれるなら、そのタスクは後ろの仕事を待たせています。何もずれないなら、そのタスクは後回しにできます。

ただし、後回しにできるタスクを「急がなくていいタスク」と思わないでください。後ろで待っている人がいないだけで、そのタスク自身の締切はそのまま残ります。誰からも催促が来ないので、忘れたときに気づくのが遅れます。

原因1:作業時間の長いものから、順番を決めている

順番を考えるとき、つい作業時間の長いものから並べたくなります。ただ、提出日を決めているのは1つ1つの作業時間ではありません。決めているのは、つながった一本道の合計です。つながりをたどって合計の日数がいちばん長くなる一本道を、工程管理ではクリティカルパスと呼びます。この記事では一本道と書きます。

見積書ができないと承認に出せない、承認が下りないと客先に出せない。この一本道のどこかが遅れると、提出日がそのまま後ろへずれます。逆に、この一本道から外れている仕事は、遅れても提出日には響きません。後ろに回せる、というだけで、なくなるわけではありません。

1-1. 最後の締切から、逆にたどる

見分け方:いま手元のタスク一覧で、いちばん最後の締切から逆にたどってみてください。「これを出すには、その前に何が終わっていないといけないか」を繰り返します。たどる途中で出てきたタスクが、遅らせられないタスクです。 一度も出てこなかったタスクは、後回しにできます。

1-2. 枝が分かれていたら、長い側だけを追う

前提が2つ以上出てきたら、そこから先はいちばん日数のかかる側だけを追ってください。短い側は、長い側が終わるまでの余りの日数で間に合います。ここを選ばずに全部たどると、枝が全部「遅らせられない」ように見えて手が止まります。

締切が複数あるなら、締切ごとに1回ずつたどります。たどっても、どのタスクの遅れも締切に届かないなら、その締切にはまだ余裕があるということです。

原因2:1つのタスクの中に、他の人の手が入っている

たどるときに、いちばん見落とされるものがあります。1つのタスクの中に隠れている、他の人の手が入る工程です。

実際に相談を受けた例です。大きい仕事を分けないまま1つのタスクとして持っていて、期限の直前に取りかかった方がいました。その中に「決裁者に確認をもらう」という工程が入っていて、その日、決裁者は不在でした。

2-1. 一覧の上では「自分の作業」に見えている

作業量の問題ではありません。自分の遅れは自分で取り返せますが、相手の不在は取り返せません

2-2. 数えるのは作業量ではなく、人が変わる場所

手を動かす人が変わるところが入っているタスクは、書いてある日数では終わりません。相手が空くまでの日数が、どこにも書かれていないからです。

タスクを分ける手順そのものはWBSの作り方、相手に渡すものをいつ投げるかはタスク管理が上手い人は何が違うのかにまとめました。

見分け方:遅らせられないと分かったタスクの中身を一度書き出して、「確認」「承認」「送ってもらう」の3つが入っていないかを見てください。入っていたら、相手の空いている日まで含めて日数を数え直します。ツールを開かずに紙のリストでやる場合も、横に印を付けるだけで同じことができます。

対処:今週やる3つ

新しく表を作る必要はありません。いまの一覧に書き足すのが2つ、たどるのが1つです。

1. 各タスクに「これが終わらないと始められない仕事」を書く

思いつくだけ書いてください。多くても3つで足ります。思いつかないタスクは空欄でかまいませんが、空欄のタスクにも締切はあるので、放っておいていいわけではありません。全部を書こうとすると手が止まるので、今週の分だけで十分。

2. 前提が2つ以上あるときは、長い側をたどって1本に決める

合流しているところで、日数の合計が大きい側を選びます。「確認」「承認」「送ってもらう」が入るタスクは、相手が返してくれるまでの日数も足してから比べてください。ここを1日で見積もると、たいてい足りません。

3. 後回しにできるタスクの置き場を決める

一本道から外れたタスクは、いま後回しにできます。ただし消えるわけではないので、いつやるかまで書いてください。遅らせられないタスクを前に倒すぶんの時間は、この置き場から出てきます

3つのうち、いちばん手間がかかるのは2つめです。ここを飛ばすと、枝が全部「遅らせられない」に見えて、結局どれも動かせなくなります。

ただし、ここまでで決まるのは順番だけです。間に合うかどうかは、自分がその日に使える時間で決まります。遅らせられないタスクを前に倒しても、残りが時間に入らなければ落ちるので、量のほうの話はマルチタスクが苦手な人の仕事術にまとめました。

相手待ちが埋もれない表が要るなら、担当・期限・状態に加えて「いま誰が持っているか」の列が入ったExcelテンプレートがあります(メールアドレスの登録で受け取れます)。つながりを書く列は、いまの表に1列足してください。

タスク管理表のExcelテンプレートを受け取る

それでも残るもの

3つとも、仕事が増えるたびにやり直しが必要です。タスクが10個のうちは数分で済みますが、数十個になると、つながりを追うだけでまとまった時間が要ります。しかも1つでも日付が動けば、たどり直しになります。

このうち、期日と終わった状態を渡せば、そこから必要な作業を割り出して順番をつけて並べるところは、私たちが提供するサービスで任せられます。カレンダーの予定を見て、空いている時間に振り分けることもできます(使える範囲はご契約と設定によって変わります)。

「相手待ち」のタスクを見張って、返事がなければもう一度声をかけるところも引き受けられます。この記事でいちばん見落とされると書いた部分です。

たどり直しそのものは、いまのところ手元の作業として残ります。とはいえ、上の3つは今日の一覧の上でできます。まずは今週のタスクだけからで十分です。

よくある質問

Q. 図を描いて計算しないと、正しく求められないのでは。

大きな工事や、何十人も関わる開発なら、図と計算が必要です。ただ、自分の担当が20個程度なら、最後の締切から逆にたどり、枝が出たら長いほうを選ぶ。これだけでほぼ同じ一本道にたどり着きます。締切が複数あるときは、締切ごとにたどってください。

Q. ツールが示す一本道と、自分でたどった一本道が違いました。

よくあるのは、相手の休みや、承認が週1回しか回らないといった事情を入力していないために起きるずれです。まずはそこを確かめてください。入力してあるのに違うなら、こちらが合流点で短い側を追っている可能性のほうが高いので、枝をもう一度比べます。

Q. 遅らせていい仕事は、後回しにしていいのですか。

いま後回しにできる、というだけです。ずっと放っておけば、そのうち他の仕事とつながって、遅らせられない側に移ります。週に1回、たどり直すほうが安全です。引き直し方はガントチャートの作り方にまとめました。

まとめ

全部急ぎに見えるのは、注意力の問題ではありません。

どれが後ろの仕事を待たせているのかが、一覧に書かれていないからです。最後の締切から逆にたどり、枝が出たら長いほうを選ぶ。それで、遅らせられない一本道が出てきます。あとは、そこから外れたタスクの置き場を決めるだけです。

締切そのものの引き方はタスク管理が上手い人は何が違うのか、たどった順番を時間軸に並べる話はガントチャートの作り方にまとめています。

今週やること

つながりを書く

  • 各タスクに「これが終わらないと始められない仕事」を書く(多くても3つ)
  • 思いつかないタスクは空欄のままにして、締切だけ確かめる

たどる道を1本に決める

  • 「確認」「承認」「送ってもらう」が入っているタスクは、相手が返してくれる日数も足して数える
  • 最後の締切から逆にたどり、合流したところでは長い側を選ぶ

置き場を決める

  • 一本道から外れたタスクを、いつやるかまで書く
  • 週に1回、最後の締切から逆にたどり直す

明日の朝、一覧を開いたら、いちばん最後の締切から逆に読んでみてください。

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